不動産を共有名義にするメリットとデメリット
あなたが、一人ではなく夫婦で、もしくは両親と一緒に不動産を購入した場合、出した金額によってその不動産所有の比率( =共有持分)が決まりますが、不動産を共有名義にして共有持分を持つことのメリット・デメリットとはなんでしょうか。
共有名義とは?共有持分とは?
あなたが不動産の購入を検討しているとしましょう。
不動産を購入するためには多額の資金を準備しなければなりません。
足りない資金は住宅ローンなどの借入れに頼ることになります。
もっとも、あなた一人で購入することが困難な場合には、夫婦や両親と共同で購入する場合もあるでしょう。
その場合、出したお金で持分割合が決まります。
物件が4,000万円であなたが3,000万円で、あなたのお父さんが1,000万円出したとすると、あなたの持分が3/4、お父さんの持分が1/4ということになります。
持分とはその不動産の名義を誰がどのくらいの割合を所有しているかを示しています。
その不動産は、あなたとお父さんとの共有名義の不動産であり、あなたは3/4、お父さんは1/4のそれぞれの共有持分を持っているということになります。
共有名義と共有持分につきて詳しく知りたい方は、「出したお金のどこまでが共有名義・共有持分に含まれる?」を参照してください。
共有名義・共有持分のデメリット
普通はメリットから書くと思うが、一般的に見て、共有名義にしたい(=メリット)という人より、年収や資産から考えて共有名義にしなければ不動産を購入することができないから共有名義にするというパターンの人の方が多いといえます。そのため、「じゃあ共有名義にすると何か損するの?」というデメリット部分を先にお伝えします。
●共有者の承諾を得ずに売却することができない
これについては当たり前なのですが、あなただけのものではないので、当然相手の承諾が必要になります。例えあなたの共有持分の割合が9割で共有者が1割だとしてもです。相手があなたより共有持分が少ないからといって関係ありません。不動産を売却するときには、共有名義になっている全員分の署名・捺印が必要になります。
●共有者が亡くなった場合、相続の対象となる
また、仮に共有者が亡くなれば、当然共有者の持分は相続の対象となります。あなただけが唯一の相続人であれば良いですが、もし複数いる場合はあなたの不動産は、いくら長年住んでいて愛着があっても遺産分割の対象となる可能性があります。
●離婚した場合、売らなくてはいけなくなる可能性が高い
離婚の場合も厄介です。不動産を2つに割って住むことはできないので、どちらかが出て行くことになります。どちらか一方が共有持分の分を買えば売らなくて住むのでしょうが、住宅ローンを利用して購入して数年で離婚の場合は悲惨なことになります。資産(=現金)がないから住宅ローンを利用しているケースがほとんどのため、相手が購入できる可能性が低いわけです。そうなると結果として売却しなければいけなくなります。売却代金は持分の割合で分けることになります。新築から数年しか経ってない物件で、売却理由として離婚は多く見受けられます。
●費用が倍かかる
共有名義ということは、登記する際には当然その人数分かかります。そして住宅ローンを利用する際にも、その諸費用は人数分に応じてかかります。
●贈与税がかかるかもしれない
共有者が仕事を辞めて収入が無くなるようなことがあれば、あなたが共有者の分も住宅ローンを払わなくてはいけません。これはあなたから共有者への贈与とみなされ贈与税の対象となることがあります。
このことについて詳しく知りたい方は、「夫婦が共有でマイホームを購入し、夫婦二人でローンを組んだ場合の注意点は?」を参照してください。
共有名義・共有持分のメリット
上記のデメリットを踏まえても、わざわざ共有名義にするというメリットには、「自分の出したお金の分はきっちりと持分をもらいたい」という理由を横に置くと、税制上の優遇を2重に受けられるという点に集約されます。
●住宅ローン控除を2重に受けられる
住宅ローン控除(減税)は、購入価格の一定割合を所得税から税額控除できる制度で、年末の住宅ローン残高の1%が税控除できます。この税控除は夫婦それぞれが、それぞれの住宅ローンの残高に対して利用できます。もちろん、親との共有名義で、親が働いている場合についてもそれぞれ利用できます。
平成27(2015)年現在、住宅ローン控除は最高4000万円の1%が減税対象となっています。つまり40万円の減税ということになります。ただ、所得によっては40万円も所得税を払っていないケースもあります。そのような場合にはその分が消えます。
しかし、年収600万円のご主人が3000万円、年収350万円の妻が1000万円という住宅ローンを組んでおけば、それぞれで30万円、10万円の税控除が可能となるわけです。
ただ、上述した「共有者が仕事を辞めて収入が無くなる」ようなことや「将来的に妻が出産などで仕事をやめる」など働き方が変わってしまうと、住宅ローン控除が使えなくなるという可能性があります。
「住宅ローン控除(減税)を2重に受けられる」からと言って決めるのではなく、もしこのメリットで共有名義を考えているのであれば、よく勉強してから決めた方が良いでしょう。
●売却するときの3,000万円特別控除を2重に受けられる
不動産売却時には「3,000万円特別控除」いわゆる「居住用財産の買換えの特例」というものがあります。これは不動産を売却した時の譲渡益に対する3,000万円分の特別控除であり、共有名義の場合にはそれぞれに3,000万円(合計6,000万円分)の控除できることにより、高額な物件の売買の場合の際には税金のメリットがあると言えます。
簡単に言うと、単独名義だと、住宅の売却で3,000万円以上の利益が出た場合に税金がかかりますが、夫婦共有名義だと6,000万円までは税金がかからないということになります。しかし、値上がりを見込んでいた投資用不動産ならともかく居住用の不動産、いわゆるマイホームでこれほどの利益を上げることはなかなかないし、もし仮に3,000万円以上の利益が出た場合に、たまたま共有名義なら恩恵を受けれるだけの話であって、このことを目的に共有名義にする人はほぼいません。
まとめ
不動産を共有名義にして共有持分を持つことのメリットは、税制上の恩恵しかありません。それも共有者、例えば夫婦が今後も安定して収入があり、仕事も続けるという前提でのメリットになります。正直に言って、ここまで考えて共有名義にする人には、「現金を持っているが、(税金を考えて)あえて住宅ローンを使っている」ぐらいの余裕のある人が大半です。そうではなくて、あなたがもし不動産購入の資金を考えた上で、共有名義にせざるを得ない場合には、デメリットの部分を共有名義のリスクとしてよく知っておくことが必要です。
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